強さだけでなく、うまさを求めて。関東学生リーグ26勝の「団体戦男」、佐藤卓斗は歩みを止めない_前編
2026年10月27日
全国の強豪校から、エース級の選手が集う関東学生卓球リーグ・男子1部。そこで大学3年の秋季までにすでに26勝(12敗)を挙げ、チームの頼れるポイントゲッターとなっているのが法政大3年の佐藤卓斗だ。
佐藤本人が「最も自信がある」という、正確なストップや深く切れたツッツキなどの台上プレーで先手を取り、安定感抜群の両ハンドで攻めるプレースタイル。法政大に入学後、課題であったパワーやバックハンドの攻撃力も着実に向上し、頭角を現してきた。
三重県四日市市で育った佐藤が、卓球を始めたのは4歳の時。「卓斗」という名前は、中学や高校で卓球に打ち込んだという父・誠、母・真巳子が「卓球をやってほしい」という願いを込めてつけたもの。小さい頃からラケットやボールは身近な遊び道具だった。
四日市市のクラブチーム『ケンちゃんズ』で腕を磨き、小学2年時に全日本バンビでベスト8。小学4年時にも全日本カブでベスト8に入ったが、5・6年時のホープスでは成績が伸びなかった。「中学で県外に行きたいという気持ちはそれほどなかった」という佐藤だが、小学校を卒業後、島根・出雲北陵中への進学を決断する。

「今思えば、人生の分岐点だったと思います。やはり小学5・6年で思うような成績が残せなかった悔しさはありました。クラブで教わっていた戸上雄貴さん(戸上隼輔選手の実兄)が、埼玉工業大時代に出雲北陵中の相場翔太先生の後輩だった縁で紹介してもらって、勝手に『行きます』って言っちゃったんです」(佐藤)
出雲北陵には中学・高校と6年間在籍し、高校1年の終わりに全国高校選抜で3位に入賞したのをきっかけに、高校2・3年のインターハイではともに学校対抗3位、男子ダブルス3位と表彰台に上がった。この飛躍のきっかけは、意外にもあまりボールを打つことができなかった新型コロナウイルスの自粛期間にあったという。
「中学3年の1年間は練習が制限されて、あまりボールを打つことができなくなって、その代わりにトレーニングをめちゃくちゃやったんです。本当に毎日『走って、走って、走って』という感じで、サーキットや体幹などのトレーニングもやり込んだ。卓球はできないし、体も気持ちもしんどすぎて、今振り返っても『あれ以上頑張ることはないだろう』というくらいキツかったですね。
でもそれを乗り越えることで気持ちの面でも強くなって、『やってやろう』という感じになった。高校選抜で3位に入って、結果が出るとやっぱり見える世界も変わる。そこから波に乗れていった感じですね」
2023年の札幌でのインターハイ。男子学校対抗の準決勝で、王者・愛工大名電に猛烈な闘志で向かっていった佐藤のプレーを覚えている。「名電越え」を果たすことはできなかったが、まさに完全燃焼の夏。ちなみにこの高校3年のインターハイでの男子ダブルス準々決勝が、佐藤にとって今までの競技人生でのベストゲームだという。
「相手が長崎・瓊浦高のペアで、九州の高校の選手たちが観客席で応援していたんです。そこで自分の友だちが中国地方の高校の選手を集めてくれて、対抗してみんなで応援してくれたんですよ。
試合開始のラブオールの直後、1本目をぼくと小野(泰和)のペアが取った時、観客席の応援団に向かってガッツポーズをした。その瞬間、ものすごい鳥肌が立ちました。その時の感覚は本当に忘れられないです。応援してくれる人の大切さを一番感じた試合だし、そういう人たちのために卓球をしているんだなというのを再認識できた試合です」
自分よりもチームのために、そして応援してくれるみんなのために。少し古い言い方をすれば、佐藤卓斗は「意気に感じる」プレーヤーなのだ。
小学生時代から中学生まで、佐藤が使用していたラバーは『ラクザ7』。高校に入ってからは、抜群のグリップ力でボールが弧線を描く『ラクザX』を使った。「ヤサカの用具は使いやすさが一番の特徴ですね。初級者はもちろん、中高生の選手も安心して使えて技術力を伸ばせる。年齢を問わず、どの方でも使える用具だと思います」(佐藤)。
《後編に続く》

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