1/64の孤軍奮闘、上を目指し続ける中村光人。「まだまだ課題も伸びしろもいっぱいある」
2026年02月20日
1月20〜25日、東京・千駄ヶ谷の東京体育館で行われた『天皇杯・皇后杯 2026年全日本卓球選手権大会』(一般・ジュニアの部)。大会3日目の1月22日に行われた男子シングルス4回戦で、スーパーシードの32名と3回戦を勝ち抜いた32名、合わせて64名がコートに立った。
その中でバック面に表ソフトを貼る「異質攻撃型」のプレーヤーは、中村光人(リコー)ただひとり。今大会、ジュニア男子で同じく右バック表ソフトの黄塚結空(静岡学園高)がベスト8に入る健闘を見せたが、男子シングルスでの中村は「1/64」のまさに孤軍奮闘。ドライブ型全盛の時代に、バック表の選手たちに勇気を届けている。
社会人1年目で迎えた昨年度大会では、悔しい1回戦敗退を喫した中村。今年は1・2回戦を順調にストレート勝ちで突破したが、3回戦で二井原有真(専修大)に2ゲームを先取され、敗戦の瀬戸際まで追い詰められた。
「0ー2になって、去年の1回戦負けが少し頭をよぎりました。サービス・レシーブが本当にうまくいかなくて、サービスも台から出てしまうし、レシーブも良くなかった」という中村。1ゲームを返した4ゲーム目には10ー11でマッチポイントも握られたが、「打たせてでもいいからラリーに持ち込む」ことを心がけ、3ー2で逆転勝利を収めた。

この苦戦を糧に、「迷った時に後悔のないようにプレーする」ことを心がけた4回戦では、昨夏のインターハイ2位の伊藤佑太(星槎国際高横浜)に4ー2で勝利。威力ある両ハンドを操る左腕・伊藤に対し、バック表ソフトのストップやツッツキをうまく使いながら、フォアドライブで先手を取ったら最後まで攻め切る中村本来のプレーが光った。

ランク決定戦となる5回戦の対戦相手は、愛工大名電中・高、そして愛知工業大でもチームメイトだった2年先輩の木造勇人。試合は序盤から接戦が続き、中村が先手を取る場面も多かったが、充実のプレーを見せる木造はラリーに強く、台から下げられても粘り強く中村の連打をしのいだ。
ゲームカウント0ー2となった3ゲーム目は、中村が木造のチキータを狙い打ち、大きくリードを広げて奪取したが、4ゲーム目からは木造がフォアでのレシーブに切り替え、中村の速攻を封じた。「試合の前半は良い展開に持っていけたけど、終盤では木造さんのほうができることが多くて、ぼくがやりたい展開に持ち込ませないうまさがあった」(中村)。

試合後、木造と堅い握手を交わし、ミックスゾーンでは「ぼくが中学で名電に進学したいと思ったきっかけは木造さん。尊敬する方だったので、この全日本の舞台でやれてすごくうれしかった」と語った中村。一方、木造も「ランクは大学1年以来で、ラン決も初めてのような気持ちだった。相手が後輩の中村だったので感慨深いものはありました」と語った。
2024年大会以来、2回目のランク(ベスト16)への挑戦は届かず。それでも中村は「前回はラン決まで行けたことがうれしかったけど、今回はしっかりランクを目指して取り組んできたし、ちゃんと悔しさもある」と成長への確かな手応えを語った。
「バック表の技術だけ見れば良くなってきているけど、バックを使った後の動きなどまだまだ成長できるところはある。まだまだ天井(てんじょう)まで来たとも思っていないし、課題も伸びしろもいっぱいある。今回の全日本では1試合ずつ勝ちながら、課題を見つけることができたので、勝利からも敗戦からもちゃんと吸収して、またイチから頑張りたいと思います」(中村)
試合後に見せる満面の笑顔は、東京体育館の観客席に爽やかな風を運んだ。間もなく社会人3年目を迎える中村光人の成長曲線は、着実に上を目指して伸び続けている。

■Profile なかむら・みつと
2001年9月14日生まれ、長崎県出身。愛工大名電中・高を経て愛知工業大に進学し、2023年全日本学生選抜2位。卒業後はリコーに入社し、チームの主力選手として2シーズンで通算12勝を挙げ、25年後期日本リーグではファインプレー賞を受賞。26年全日本選手権ではランク決定の5回戦に進出した。右シェークフォア裏ソフト・バック表ソフト攻撃型
●中村光人選手・使用ラバー
フォア面:『ラクザXX』(特厚)
バック面:『ラクザPO』(厚)

●ラクザXX
●7,920円(税込)
●ハイブリッドエナジー型裏ソフトラバー
●特厚・厚

●ラクザPO
●6,380円(税込)
●ハイブリッドエナジー型表ソフトラバー
●特厚・厚・中厚
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