使い始めて50年余、「まだ使いこなせていない」。マスターズV21の坂本憲一は『オリジナル』を極め続ける
2026年01月06日
昨年11月22〜24日、石川・いしかわ総合スポーツセンターで行われた全日本選手権大会(マスターズの部)で大記録が誕生した。男子ハイシックスティに出場した坂本憲一(COLOR・神奈川)が4年連続の優勝を果たし、男女を通じて新記録となる通算21回目の優勝を達成したのだ。
ハイシックスティ決勝で対戦したのは、昨年3月の東京選手権・男子ハイシックスティ決勝で敗れていた本橋道直(一球クラブ・埼玉)。東京選手権での敗戦について「相手に負けないという気持ちと、ここ一本での思い切りに欠けていた」と振り返る坂本は、高い集中力で決勝に臨んだ。
2ゲーム目を14ー16で落とし、この大会で初めてゲームを失った時には東京選手権での敗戦が頭をよぎったというが、「常にゲームは出足が勝負」という勝負哲学は揺るがなかった。3・4ゲーム目とも出足でリードを奪い、4ゲーム目は6ー2から一気に11ー2と突き放して決着をつけた。

東京選手権決勝で敗れた本橋を3ー1で下す
全日本マスターズにこれまで30回出場し、通算21回目の優勝。優勝確率は驚異の7割。1勝を目指して奮闘するマスターズプレーヤーから見れば異次元の成績を残し続ける坂本だが、「自分ひとりだけで強くなれるわけではない。いつも練習をやっている妻(久美・全日本マスターズ2回優勝)や多くの練習仲間など、いろいろな方の協力のおかげで今の成績があります」と感謝の思いを語る。

坂本が神奈川・六角橋中3年時から現在に到るまで、フォア面に使用しているのがヤサカの元祖表ソフト『オリジナル』だ。少年時代、荘則棟(1961・63・65年世界選手権3連覇)に代表される中国のペン表速攻に憧れ、表ソフトを使うようになってから、50年以上に渡って『オリジナル』ひと筋。他のラバーは試したことがないという。
粒は大粒の『A-1』。スポンジが市販されているものよりも非常に軟らかく、ヤサカでは『オリジナル』の「S(=Sakamoto)バージョン」と呼ばれている。
「軟らかいスポンジの『オリジナル』は、日本大学時代から特注してヤサカさんに作ってもらっています。私の世代には阿部博幸さん(1980年全日本チャンピオン)や小野誠治さん(1979年世界チャンピオン)、前原正浩さん(1981年全日本チャンピオン)など速いボールを打つ人が多かった。前で止めるショートが弾(はじ)かれてしまうことがあり、それなら全然弾まないラバーを使ってみようと思ったのがきっかけです」(坂本)

非常に軟らかいスポンジの弾まない『オリジナル』を貼る
ただ強く打つだけなら、弾む表ソフトのほうが良いに決まっている。しかし、弾まない『オリジナル』で緩急やボールの長短を駆使し、チャンスを作る技の「奥行き」が坂本の前陣攻守の真骨頂。そうしてチャンスボールを引き出せば、十分に打ち抜くだけのスピードが出せる。
速いボールと遅いボール、切るボールと切らないボール、深いボールと浅いボール。常に一方向ではなく、二方向、三方向から技術を考えていくのが「坂本流」。そのスタイルに最もフィットし、最大限の戦術の幅広さを出していけるファーストチョイスが『オリジナル』なのだ。
「私の周りでも勝さん(英雄/全日本マスターズ11回優勝)をはじめ、表ソフトユーザーは『オリジナル』を使っている人は多いですね。私にとってはすごく良いラバーです」(坂本)

毎月のように違う種類のラバーに変え、新しくて弾むラバーを追い求めるユーザーも少なくない中、坂本は今なお自問自答する。「自分は『オリジナル』の性能を完全に引き出せているのか、使いこなせているのか」と。
「ラバーは選手の特徴を最大限に引き出す用具であるけれど、逆に選手はラバーの持つ特徴を最大限発揮できるようにすることが大切です。昔の人は用具を使いこなすことで『用具と体が一体になる』と言ったけれど、私はまだその域には達していない。もっともっと『オリジナル』を活かしていきたい」(坂本)
マスターズプレーヤーとして健康に留意し、故障には注意しながらも、心は常に挑戦者。連続優勝のさらなる更新を目指す中で、坂本憲一と『オリジナル』の幸福な関係はこれからも続いていく。

●オリジナル(表ソフト)
●2,420円(税込)
●表ソフトラバー
●厚・中・薄・極薄
※スピード重視の大粒(A-1)と安定性重視の小粒(A-2)あり
◎ヤサカ公式ホームページはこちら
