「打たせることも得点源になる」。バック表ソフトの希望の星、中村光人の進化
2025年12月17日
近年、男子では希少な戦型になりつつある、バック表ソフトの異質攻撃型。その「希望の星」とも言える活躍を見せているのが、リコーの中村光人だ。
愛知工業大4年時の2024年全日本選手権ではランク決定戦(5回戦)まで進出した実力者。リコー入社2年目の今年は、後期日本リーグで一気にブレーク。愛知工業大の後輩で25年全日本選手権3位の谷垣佑真、25年全日本男子ダブルス優勝の飯村悠太(明治大)などシェークドライブ型の強豪を連破し、愛知工業大時代の22年前期以来となるファインプレー賞を受賞した。
彼のプレーに起こった進化とは何か、本人に話を聞いた。

ー11月の後期日本リーグでは5勝1敗でファインプレー賞を受賞するなど、好調をキープしています。要因は何でしょう?
中村光人(以下・中村) 少し戦術的な話になってしまうんですけど、ぼくはリコーに入社した当時、自分の得意な技術と苦手な技術が大きく分かれていました。アップ(上回転系)サービスが得意で、そこからフォアで回り込む展開が多かったんですけど、最初から最後までその展開を使ってしまったり、大事なところでその展開に頼り切ってしまう課題があった。最後まで競るけれど負けることが多かったんです。
でも今年(2025年)の夏ごろから苦手な技術を減らすため、バック面の表ソフトで下回転を打つ練習をやり込みました。そして競った場面では、自分の得意な戦術だけでなく、相手のプレーを狭める下回転サービスからのバックハンドでの下回転打ちなど、新しい戦い方を取り入れていった。その成果が出てきたと思います。

ー後期日本リーグでは、大学の後輩である全日本選手権3位の谷垣佑真選手(愛知工業大)に勝利。しかも0ー2からの逆転勝ちでした。
中村 谷垣とは公式戦ではあまり当たったことがないんですけど、大学でも勝てる感じではなかった。今回もゲームカウント0ー2になって、途中までは手も足も出ない感じだったんですけど、「隣でプレーしていた小野寺さんが勝つまでは粘ろう」という感じでやっていたら勝ててしまったという感じです。
ーレシーブを中心に、バック面の表ソフトの変化を非常にうまく使っていた印象があります。
中村 最近になって気づいたことなんですけど、表ソフトは裏ソフトと違って、ツッツキやブロックも「味」が出せる。相手に打たれるのを怖がらず、「打たせることも得点源になるんだな」というのが改めてわかってきました。
後期日本リーグで対戦した江藤さん(慧/クローバー歯科カスピッズ)や谷垣はすごくパワーがあるし、「攻めないとダメだ」という感じになってしまうんですけど、表ソフトでツッツキを送ったりすると案外効きます。表ソフトのツッツキは、相手もちょっと警戒して持ち上げてくれたりするので、そこでフォアのカウンターとか自分の得意なプレーにつなげることができる。
「打たせることを怖がらない」ことが表ソフトは大事なんだなと思います。ぼくは今まで、本当に勢いだけでやってきたので、勢いがある時はどんどん振っていってラリーで勝てるけれど、表ソフトのいやらしさをあまり出せていなかった。これからは相手が嫌がる戦い方も交ぜていければ、もっとチャンスが広がると思います。
ー特に男子はバック表ソフトの異質型が減っている。中村選手の活躍はバック表の選手を大いに勇気づけると思います。
中村 バック表は裏ソフトのドライブ型より参考にできる選手が少ないので、難しい部分はあると思いますけど、十分チャンスはあると思います。練習量が必要な部分はありますが、他の人にはない特徴を武器として持つことができるし、その生かし方によってはチャンスが出てくる。
ぼくもまだそこまで勝てていないし、もっともっと頑張っていきたい。表ソフトを使う皆さんと、「一緒に頑張っていきましょう!」という感じですね。
(後編に続く)

■Profile なかむら・みつと
2001年9月14日生まれ、長崎県出身。愛工大名電中・高を経て愛知工業大に進学し、2023年全日本学生選抜2位。卒業後はリコーに入社し、チームの主力選手として2シーズンで通算12勝を挙げ、25年後期日本リーグではファインプレー賞を受賞。右シェークフォア裏ソフト・バック表ソフト攻撃型
●中村光人選手・使用ラバー
フォア面:『ラクザXX』(特厚)
バック面:『ラクザPO』(厚)

●ラクザXX
●7,920円(税込)
●ハイブリッドエナジー型裏ソフトラバー
●特厚・厚

●ラクザPO
●6,380円(税込)
●ハイブリッドエナジー型表ソフトラバー
●特厚・厚・中厚
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