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父が半年間使っていた『正宗』を使い始めた英田理志。絶妙な打球感に驚いた

2025年11月14日

「熟成された一本の正宗」は父の遺品の中から見つかった

 2025年8月、英田理志はアメリカで行われたWTTの試合でラケットを割ってしまった。すぐにスペアに替えたものの、もう1本のスペアが必要になる。どれを使おうかと考えた時、手元に1本のラケットがあった。
 それは、2022年にヤサカが『正宗』を発売した際、英田が卓球好きの父へ贈ったものだった。父は2023年4月に急逝。遺品整理の際にその『正宗』を見つけ、大切に保管していた。

 そして今年8月。ラケットが割れたタイミングで、英田はその父の『正宗』を取り出し、実戦で使ってみたのだ。半年ほど父が使っていたラケットには、適度に汗が染み込んでいたのかもしれない。「これは使える!」と即座に判断。スペアではなく、メインのラケットとして使い始めた。

 「打球感がものすごく良かった。まさに“熟成したラケット”という感じでした」と語る英田はうれしそうだ。チームメイトからも「そのラケットのほうが攻撃もカットも絶対に良い」と太鼓判。攻めればボールがしっかり走り、球持ちも良い。カットでもその特性が生きた。

英田が現在使用しているラケット。父の遺品のひとつとなった『正宗』だ

 過去に卓球王国の取材で、英田はこう語っている。
 「父が亡くなったのは最大級のマイナス。そのマイナスを支えてくれたのが娘の存在でした。もし娘がいなかったら、立ち直れなかったし、卓球も続けられていなかったかもしれない。引退が頭をよぎった可能性もあります」
 英田を卓球の道に導いてくれた、最愛の父。その手の温もりを思いながら戦い、全日本社会人選手権のダブルス優勝をつかんだ。

松下大星(左)とのペアで、全日本社会人ダブルス優勝を果たした(写真は25年全日本実業団)

 父が愛用した桧三枚合板の『正宗』。息子と同じラケットを使っていることを、父はきっと喜んでいたはずだ。そして亡くなる直前まで使い続けていた、そのラケットには父の汗が深く染み込んでいる。

 このラケットが英田のプレーに見事にマッチしたのは、偶然だろうか。
時間を重ね、「熟成された一本」となった。

 天国の父が、息子・理志をこのラケットへ導いてくれたのかもしれない。

卓球への道を拓いてくれた、最愛の父を思いながら、英田理志はさらなる高みを目指す

英田理志使用ラケット『正宗』

●オールラウンド用シェークラケット
●19,800円(税込)
●木材3枚合板
●板厚:7.2㎜
●重量:約85g

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