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ファルクシリーズの性能検証①ファルクカーボン。前陣に強く、強打時に失速しない正統派インナー

2025年05月13日

 2019年世界選手権・男子シングルス準優勝、2021年世界選手権・男子ダブルス優勝の「北欧の英雄」、マティアス・ファルク(スウェーデン)。そのファルク自身が開発に携わり、誕生した使用モデルの『ファルクカーボン』。中芯の両側に『PAカーボン』を配したインナーの合板設計で、木材の加工技術には定評のある「メイド・イン・スウェーデン」(スウェーデン製)だけに仕上げも美しい。

『ファルクカーボン』の開発に自ら携わったマティアス・ファルク

 握ってみれば、やはり気になるのはその性能。表ソフトのラクザPO(特厚)と裏ソフトのラクザX(特厚)というファルクと同じ使用用具で、シェーク異質攻撃型(バック表ソフト)の選手が試打。さらに両面に『ラクザX』を貼り、シェークドライブ型の選手が試打を行った。その結果やいかに?

『ファルクカーボン』と『ファルクW7』を試打。ともに両面『ラクザX』バージョンと、片面に『ラクザPO』を貼った異質バージョンの両方で試打

 まず、最初にフォアハンドやバックハンドで軽く打った時の「ファースト・インプレッション(第一印象)」は、どの選手も「あまり強烈な個性は感じない」「思ったほど飛距離は出ないですね」という声が多かった。しかし、ドライブやミート打ちの強打などでは印象が一変。「強く打った時はカーボンの弾(はじ)きの強さが出て、想像以上に威力のあるボールが打てる」「台から下がった時の威力がすごい。ドライブが失速せずに相手コートに入ってくれる」と、打球の威力を評価する声が次々にあがった。

 2024年全日本選手権・男子シングルスベスト16の加山雅基選手(日本大)も、「『ファルクカーボン』は中陣に下がってもボールの質が落ちない。ボールをつかむのにしっかり飛んでくれる」とコメントしている。前・中陣でのカウンターやブロックでは、木材の球持ちの良さでボールをしっかりつかんで安定しながら、台から下がって強打する時にはしっかりスピードが出て、打球音も高くなる。

 「軽打時には木材の安定感が出せて、強打時には特殊素材の威力が出せる」。それがインナーラケットの強みだと言われる。ツッツキやストップなどの台上プレーもソツなくこなせるこの『ファルクカーボン』は、まさにインナーラケット『ど真ん中』の性能を、高いレベルで備えている。

 また、『ファルクカーボン』はブレードサイズが幅151mmで、通常のラケットよりわずかに横幅が狭い。「ブレードの形状が独特だと感じる」という声や、「グリップの根元(ねもと)の部分がやや細く、ブレードが縦長なので、重心がヘッド(先端)寄りだと感じた」という声もあった。ちなみに両面に裏ソフト『ラクザX』の特厚を貼っても重量は184gと、振り抜ける範囲に収まっている。

ファルク選手がバック面に使用する『ラクザX』。対戦相手がオーバーミスを連発する、回転量豊富なバックドライブを繰り出す

 また、戦型としては現在は希少になっているが、フォア面に表ソフトを貼る選手で「『ファルクカーボン』の性能が気になる……」という選手も、もちろんいるだろう。

 「反転させてフォア面表ソフトでも打つ」というシェーク異質型の選手に、フォア面を『ラクザPO』にして試打してもらったところ、「インパクトを強くするとスピードが出せるけれど、ある程度のパワーが要求される。初・中級の選手なら、初速の早い『ファルクW7』のほうが威力が出しやすいかもしれません」とのこと。ドライブを多く使いながら、チャンスボールをスマッシュで狙うファルクタイプの選手は『ファルクカーボン』、角度打ちや前陣でのスマッシュ連打など、ミート打ちを主体に戦うタイプの選手は『ファルクW7』のほうが適していると言えそうだ。

 正当派のインナーラケットであり、改めてその基本性能と、使い手が引き出せる潜在能力の高さを感じた『ファルクカーボン』。次回は木材7枚の『ファルクW7』の試打結果もお伝えしよう。

ファルクカーボン
●¥19,800(税込)
●木材5枚+PAカーボン2枚
●グリップ:FL・ST
●板厚:5.9mm
●重量:87g±

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